転機となったミャンマー留学とその後の選択

2025年卒業、木村亨

国際協力に興味を持ったきっかけ、学生時代の経験

 高校卒業まで日本で過ごしましたが、18歳の時にミャンマーへ移住するという大きな転機に恵まれました。現地のヤンゴン外国語大学ビルマ語学科に進学し、昼は語学を学び、夜はインターナショナルスクールの事務局インターンとして学校運営に携わる日々を送りました。

 また、ミャンマー剣道代表チームでは日本人監督の通訳を務めるなど、常にミャンマーの人々と共に過ごす中で、多民族国家ならではの多様な価値観に触れました。立場や背景が異なることで意図がすれ違う場面も多く、そこで生まれた疑問を放置せず、「なぜ、そう考えるのか」を相手に確かめ、対話を重ねる姿勢が、私の関心の核となっていきました。

ミャンマー剣道家たちとの稽古風景:この経験は本当にためになりましたし、今でも交流は続いています。

 学部卒業後、こうした現場での問いを学問的に深めたいと考えながらも、まずは実務経験を積み、2022年4月に日下部ゼミに所属しました。修士の研究では、タイ・ミャンマー国境の町に合計約2か月滞在し、国境地域で活動するミャンマーの方々へのライフヒストリー・インタビューや観察を実践、現地団体の活動を部分的にお手伝いさせていただく機会にも恵まれました。先行研究で得た知見と、現場で得た一人ひとりの語りを往復することで、国境地帯で交錯する人々の動態を捉え直すことを目指し、2025年3月に修士論文を提出し修了しました。

国境地帯で避難民の子供達と交流する機会にも恵まれました

卒業後の進路

 2021年2月、ミャンマーでクーデターが発生。これを機に2月から7月にかけて、(公財)笹川平和財団の業務委託として現地情勢の分析に携わり、
同年7月以降は、同財団でミャンマー関連の情報収集・分析や研究会運営などの職務に就いていました。そのため、日下部ゼミには社会人として所属し、仕事と研究を両立させる道を選びました。周囲の理解を得ながら、日下部先生と何度も相談を重ねて研究計画や発表のペースを調整させていただいたおかげで、二足の草鞋を履きながらも、着実に研究を進めることができました。

 現在は笹川平和財団に籍を置きつつ、2024年7月から公益財団法人日本財団へ出向し、タイ・ミャンマー国境の避難民を対象とした教育・医療分野の助成事業を担当しています。実務の比重が大きい現在ですが、ここで得られる新たな視点を大切にしながら、研究活動も並行して続けています。

学生の皆さんへのメッセージ

 日下部ゼミは、国際協力、ボランティアをはじめとする諸理論という共通言語を手にしながら、現場の声や実態にも真摯に向き合い、その間を往復する作法を学べる場所だと感じています。私のように働きながら学ぶ学生に対しても、先生が親身に相談に乗ってくださり、一人ひとりの状況に合わせて前に進む方法を一緒に考えてくださる、懐の深い環境です。

 関心の芽は、はじめは小さくても全く問題ありません。メモ一行や、ふとした会話から研究は始まります。自分の言葉で問いを立て、現場で確かめ、また問い直す——そのプロセスそのものを大切にしたいと考える方にとって、日下部ゼミはきっと最高の環境となるはずです。